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フリュー株式会社の技術ブログです

2011年10月26日

Casual Connect 2011 Seattleで、ゲームと心理学との関係についての講演を聞いて来ました

7月にシアトルにて行われたCasual Connect 2011にて、ベンチャー企業を中心としたビジネスモデルやプラットフォームの紹介といった講演が多かったが、その中でもこの講演は異色で、まだ結論が出ていない事柄について、現場でソーシャルアプリを制作しているディレクターが、ゲームにおける「快感」は、脳の中でどのように作用しているか?といったことを経験談と調査結果に基づいてディスカッションするものであった。

Casual Connectを含む今回の視察ツアー全体の概要はこちら

http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=3729

講演の一覧はこちら (英語)

http://seattle.casualconnect.org/content.html

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ゲームと心理学との関係

Your Brain on Games: The Hidden Psychology of Gaming

Demetri DETSARIDIS, GM, Zynga New York

Michael FERGUSSON, CEO and Founder, Ayogo Games Inc

Nicole LAZZARO, Founder and President, XEODesign

discussion led by Robert TERCEK, President, General Creativity

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■カジュアルゲームとは

本イベント「Casual Connect」は、その名前の通りカジュアルゲームのためのカンファレンスである。カジュアルゲームというのは近年敢えてそう呼ばれ出したカテゴリであり、Xbox360やPS3といった、「ゲーマーが遊ぶためのゲーム」とは逆の、「非・ゲーマーのためのゲーム」の事を指す。スマートフォンやソーシャルゲームなど、専用ハードを買い揃えるといったことが一切ない環境にあり、誰でもすぐにゲームを始めることが出来て、1分も遊べば満足できる、といった本当に「カジュアル」なゲームである。

Facebookでのソーシャルゲーム、iPhoneのタッチパネルを利用したゲームなどは、

・生活の側にある(ネット=Facebookであり、ポケットにはiPhoneが必ずある)

・いつでも遊べる

といったようなプラットフォームの特徴があるので、それに合わせるように内容も、

・お金も(そんなに)かからない・もしくは無料(高額なパッケージを購入する必要はない)

・分かりやすく、シンプル

・初めてすぐに「楽しいな」と思えるような作り

といった物がほとんどである。

しかしながら本来カジュアルゲームは「非・ゲーマー」であるユーザーがターゲットであるため、彼らをどう振り向かせるか、そしてどう熱中させるか?についての研究と、経験から語られるノウハウの共有が、本カンファレンス最大の趣旨となっている。

■Casual Connect 2011全体の印象

スマートフォンによるゲームアプリ、FacebookなどのPCベースでのソーシャルゲームなどの台頭はここ数年の出来事であるが、その参入障壁の低さと市場の大きさから、数多くのベンチャーがこぞって参入している。日本でもモバゲーやGREEがそうであるように、アメリカでも(このカンファレンスを見る限りでは)数多くのサプライヤーがカジュアルゲームの市場に参画しており、その勢いを会場の雰囲気から存分に感じることが出来た。

まず、参加者(参加企業)の数に圧倒される。メインは広めのカンファレンス会場であったが、中には参加企業のブースがところ狭しと数多く出展されており、プロモーション用のグッズやパンフレットの準備も入念であった。会場は全部で3つ用意され、タイムテーブルを見ながら3つの会場を移動するのであるが、ほとんどのカンファレンスは満席に近い状態であり、タイムテーブルの区切り目で大移動が起こるのであった。

カンファレンスの内容は多岐に及んでいるが、市場の分析やその企業のサービスの宣伝のようなことよりも、今話題になっているゲームや企業による戦略やノウハウの話、分析手法の話など、そこでしか聞けないような内容が盛り上がっていたように思えた。

ネットワーキング(交流会)も大勢が参加しており、見るからにギークで目がギラギラしたような人も多く(笑)、このカンファレンスに参加しているような会社の「勢い」のような物をよく感じられたと思う。

■講演の内容

ソーシャルゲームやソーシャル上の活動によって、人は「快感」を感じることがある。ゲームで友達に勝った時は快感を覚えるし、Facebookで「いいね!」が押された時も快感を感じる。その快感とは、いったいどこから来るものだろうか。また、脳の中ではどのように処理されているのだろうか。

そして、まだまだ人間が快感だと感じられるような部分があり、それを将来のゲームやソーシャルに活かすことはできないだろうか? といった趣旨での、筋書きの無いパネルトークであった。

具体的には「楽しみ方の4つの鍵」を仮定した上で、Zyngaはどのように企画に落としているのか?という内容である。



「楽しみ方の4つのキー」


(1)「hard fun」は障害に対するチャレンジ。プレイヤーのスキルがどんどん上がっていく。難しくならなければみんなやめてしまう。あまりにも難しくとイライラしてみんなやめちゃう。だからうまい具合にしないといけない。難易度は高いが達成したらものすごい喜びがある。そのバランスを考えて作っている。


(2)「people fun」は社交的な繋がり。誰かと交流をもって楽しむか。「いいね!」ボタンの意味合い。その意味は漠然としていて、後からその交流が生まれるということ。Facebookの場合はペットのゲームが多い。プラットフォームの持っている機能と、人の感情の交流がうまくマッチしている。


(3)「serious fun」はもっと意味合いのあること。お金とか、グローバルなリカバリーとか、そういうテーマ。世の中を変えるみたいな、そういう発想が入ってるようなゲーム。ただし冷めるのも早い。


(4)「easy fun」はコントロールの楽しみとか、手軽さ。

どこに力をいれていけばよいか?

(Zyngaのディレクター 語る)

いつも頭に入れているわけではないのだけど、ポーカーとかのソーシャルゲームは、hard funと重なるのではないか。そしてpeople funとeasy funはある程度重なっているのではないか?

例えばリクエストを友達にすることはゲームの一部でもあるということだと思う。だからミリオネアの場合は連絡するとき、フレンドに連絡しないと進展しないが、頻繁にしたくない。そのへんのジレンマがある。いつソーシャルグラフに入れるかが一つのチャレンジになる。

でも自分達の考えてない所に行く場合がある。Facebookの機能とか。だからソーシャルゲームは抽象的な空間でデザインすることではない。だから、プラットフォームが制限されているということでデザインすることになるので、出来ることと出来ないことがある。

「新しいゲームを作る時の心理学」

City Villeを例にあげてみると…

業界の中で色々なマニュアルがある。たくさんのデザイナーがいる。買収もした。オールスターチームのようなものである。Playdomだってそうだ。いろいろな才能が集まっている。色々なキャリアの経験豊かの人たちが一緒になっている。アイデアだらけの人達が集まっている。

ソーシャルゲームは、リアルライフスペース、つまり私達が生きている空間のように、期待されていることに対して、現実世界だったらどう反応すれば良いかとか?そういった事を、ゲームの中に落していくのが良いと思う。

例えば、宇宙のゲームを想像してください。そして宇宙船を想像してください。アステロイドの間の船を。宇宙のゲーム。でも、人間はちょっと宇宙まで行くことは難しい。だから実体験の近いものを何か取り込まないといけないと思う。Zyngaは非常になじみのある体験をゲームに取り込んでいる。抽象的なことをするとあまり人が集まらないのを知っているから、より理解しやすいことをする。レストランを開始するとか、そういう事である。

これはスキーマのセオリーだ。どういう風に人間が学ぶか、そのパターンのセオリー。図面を認識すること。つまり、ゲームでは人間が認識するようなパターンにフォーカスした方がいい。色んなアイコンを見ると人間は認識するから、そのスキーマを入れなければならない。みんな知ってることを組み込まないといけない。

抽象的なものをゲームにいれたら、「こうしなければならないよ」と教えなければならないが、みんなが知っていることや認知できることだと、プレイヤーは迷うことはない。それは一つの心理学的なプロセスだ。自分とゲームの間に心理的なブランクがあることを、現実の認知を使って繋げようとすることである。なじみがあるほど早く取り組めるということだ。

コーヒーに毎朝砂糖を入れると病気になったりするから、いつもの習慣を断ち切る必要がある。そういうことをゲームの中で自然に分からせることというのが、それが私たちの一つの狙いだ。例えば自分の将来的なベネフィット、来週の100ドルと、来週50ドル、将来50ドルだったら来週100ドルを選ぶだろう? そういうことだ。

「社交的なダイナミクス」

母乳をあげているときに信頼関係ができるということが、脳神経科の調べで分かっている。脳内のことはFacebookと同じような、脳神経的な反応がある。セロトニンの分泌による、人間と人間の反応ということが。

例えば教師が子供に星だとかリボンをご褒美するようなコミュニケーション。しかしご褒美をあげることで(満足して)やめちゃったりするので、単純にご褒美だけをするのはよくない。ポイントとかお金とかで動機付けはできるんだけど、必ずしもその通りに人間は動かない。行動するモチベーションが衰えて、諦めてしまうことがある。だから長期的に習慣を変えていく必要がある。それは例えば、友達とチャレンジする事とか。

そしてFacebookでも、フレンドが写真をタギングするというのは、タギングされた人にとって、中毒的な力であるということだと思う。Facebookの人に認めてもらえることは、お金よりもセックスよりも力が強い。

それは写真を撮って公開しただけでも、それだけで終わるのではなく、もっと次の段階のインタラクションがあるということ。その行動にエモーションがあるということだ。

■講演の感想

楽しみ方を4つに分けて分析し、それぞれに脳に及ぼす知覚的な刺激が違っているという、ただゲームを企画するという側面だけではなかなか手の出せないような分野の話が満載で、聞き所が多かった。特に「社交的なダイナミクス」にて語られた、自分のアップロードした写真にタギングされることが中毒性を持っており、お金よりもセックスよりも強いものである、という部分や、新しいゲームを作るときは、そこにある世界を現実の世界と同様な構造にして用意してあげることが重要といった話について、非常に面白かった。

まだソーシャルゲームの歴史は始まったばかりであり、Facebookで「いいね!」が押されて気持ちいいとか、そういうものは非常に原始的な仕組みであり、まだまだやれることがあるのだと思う。心理学の面から、人間が何をされたらどういう感情になるか?を科学して、そこから新しいゲームの仕組みを考えていくというのは、まだまだ可能性が残されているように感じた。


2011年10月13日

Casual Connect 2011 Seattleで、Angry Birdsの中の人の話を聞いてきました

こんにちは。モバイル事業部 開発部の九岡です。
去る7月に、アメリカ シアトルで開催されたCasual Connectというイベントに参加しました。
Casual Connectは、世界中からカジュアルゲームの開発者、パブリッシャー、ディストリビューターが集まり、情報交換やレクチャーを行うイベントです。
開催期間中、私も色々なレクチャーに参加しましたが、Angry Birdsの開発元であるRovio Mobileさんの発表が特に面白かったので、ここでご紹介させていただきます。

A bird in the hand 発表風景

A bird in the hand

なお、発表動画はCasual Connect公式サイトで公開されています。この記事を読んで興味を持っていただけたら、動画もチェックしてみてください!

[発表動画]
A Bird In The Hand: How to Make Your IP Work for You | Peter VESTERBACKA | Casual Connect

Angry Birdsって?

豚に卵を盗まれたAngry Birds達が、自らの体を弾にスリングショットで豚をやっつけていく・・・という内容の、有名なiPhone向けカジュアルゲームで、数千万のプレイヤーがいるとも言われています。
Casual ConnectでのRovio Mobileさんの発表にも、ファンの方が多数参加されていたようで、少し他とは違った熱気がありました。

ダウンロード回数よりファンを増やしたい

Angry Birdsは、世界中で3億5000万回以上ダウンロードされています。これだけ成功しているのだから、iOS以外への展開や、次回作など、ゲームとしての今後の展開が気になっていました。もちろん、次回作やマルチプラットフォーム展開も進めているところだそうですが、ポイントはそこではありませんでした。発表者のPeterさん曰く、

「Angry Birdsをただのゲームではなく、一大ブランドに育てたい。1ビリオンファン獲得を目指して頑張る」

ヒット作を連発することは本当に難しい、だからAngry Birdsというブランドを育てることに注力する、ということのようです。

では、ブランドを育てることはどういうことか、というと・・・

メディアミックス

北米ではmedia franchiseといいますが、日本では「メディアミックス」という言葉でおなじみですね。Angry Birdsは色々な媒体で楽しめるようになっています。色々な媒体でAngry Birdsを露出させて、ブランドとしての認知度と価値を高める戦略のようです。

例えば、アニメ作品はROKUというネットワークビデオプレーヤーで視聴できる他、Netflixでオンライン配信されています。また、毎月100万個のおもちゃを販売しています。おもちゃについては私も最近知ったのですが、ぬいぐるみや着ぐるみ、カバン等もあるようです。今後は、「出版社から二人引きぬいて、Angry Birdsの本をつくる!」とも仰っていました。「まずは、豚が作る卵料理の本」だそうですw

Xbox 360やPS3向けにAngry Birdsを使ったゲームの開発も進めているそうです。

手を広げ過ぎではないかと思いましたが、ちゃんと、ブランド育成の方針があってのことのようです。
その方針とは、すなわち・・・

ブランド価値へのフォーカス

「手を広げすぎて、Angry Birdsのブランド力が薄まらないように、細心の注意を払っている。ブランドの価値を下げるようなことはしない。ファンを失望させない品質を維持すること。これにフォーカスすることを忘れなければ、ブランドは維持できる。」

「(続編の)Angry Birds Rioもちゃんとゲームとして楽しいものを作った。ブランドを使っただけのクソゲーではなく、自分たちが遊んで楽しい。これが重要。」

質疑応答での、Peterさんのお話です。

もちろん、Angry Birdsもマネタイズを意識していないわけではないようです。利益のでない分野には投資できない、だからこそ利益率が90%になった、と明言されていました。マネタイズもする。ファンの期待にも答える。そのために、ブランド価値にフォーカスする。
言われてみれば当たり前のようですが、このバランスがAngry Birdsをここまで育て上げたのでしょう。

ちなみに、この発表のタイトル”A bird in the hand”は「現実に手にしているもの」という意味で、英語のことわざ”A bird in the hand is worth two in the bush”に由来する慣用句です。birdはAngry Birdにかかってますね。うまい・・・。

まとめ

Rovio Mobileさんは、Angry Birdsのヒットを受けて、Angry Birdsのブランド価値を高めることに注力していく。ブランド価値を高めるために、ゲーム、アニメ、おもちゃ、本など様々な媒体にAngry Birdsの関連商品を展開していく。展開にあたっては、ブランド価値を高めるような商品を作り続けることにフォーカスする。

さいごに

ここまでつらつらと書いてきましたが、この記事を書いたのは、「Angry Birds/Rovio Mobileすごいな~」と言いたかったから・・・ではありません。私自身、ヒットゲーム、ヒットサービスを作りたい、ユーザに楽しんでもらいたい、という思いでエンタメ業界に身を置いています。Rovio Mobileさんの事例と比べて、自身はどうか、今一度、考える機会になるのではないか。そんな思いで、この記事を書きました。

書きながら、

  • マネタイズできているか?
  • ファンの期待に答えているか?
  • ブランド価値にフォーカスしているか?

と自分に問いかけました。
正直なところ耳が痛いです!

皆さんは、いかがでしょうか。

最後になりますが、私個人、また弊社は、Angry BirdsやRovio Mobileさんとは特に関係はありませんので、ご了承くださいm( _ _)m