みなさん、こんにちは!フリューでモバイルサイト開発を行っている鷲見といいます。
去る7月19日から21日にかけてシアトルで開催された北米最大のカジュアルゲームの祭典『Casual Connect Seattle』に、我々フリューのモバイル事業部より中島、九岡、鷲見の3名で参加してきました。
今回はそのCasual Connect Seattleへの参戦記を参加した3名それぞれの観点で掲載していきます。
今回はpart.3ということで、わたくし鷲見の特に印象に残ったセッション2つについて解説したいと思います。
Smart Gamification
最近は日本でも耳にするようになった『ゲーミフィケーション』という言葉。ゲーム分野で使われるユーザを夢中にさせる要素をゲーム以外の分野に取りいれるという考え方で、日本ではWebやソーシャルアプリケーションの分野でよく使われるようになった感じがします。ただ、日本では抽象的な話を語られることは多いものの、具体的にどうするべきかといったことが説明されていることが少ない気がします。
そんなゲーミフィケーションについて、具体的にどのように構築するべきかといった方法論を5つのキーワードから紹介したセッションです。
ユーザーを没頭させるための5つのキーと題して以下のような点をあげています。
1.ユーザーのソーシャルスタイルを知る
どのような人がユーザーなのか。そのユーザーはどのようにすれば没頭してくれるのかを考える必要がある。
ユーザーが没頭するスタイルを『競争』『表現』『冒険』『コラボレーション』の4つに分類し、その4つの分野に該当する動詞にあたるアクションをゲーム内に散りばめることでユーザーが没頭しやすくする。
2.ユーザーのゲーム上でのライフサイクルステージに合わせてデザインする
ユーザーはゲーム上のライフサイクルで『初心者』・『常連』・『熱狂的なファン』の3段階に分類される。
それぞれの段階ごとにユーザーが求めることが異なるので、それぞれの段階のプレーヤーが楽しめるようデザインする必要がある。
- 初心者はゲームのコツを覚えることを求める
- 常連は新たなコンテンツ・活動・挑戦を求める
- 熱狂的なファンは独占・認知・反響を求める
これらの段階別のユーザーの欲求を考慮してデザインを行うことが重要。
3.活動にPERMAを導入する
ポジティブ心理学という分野のPERMAというフレームワークを活動の中に導入することでユーザーが没頭しやすくなる。
PERMAとは
- Positive Emotion・・・ポジティブな感情。喜び・楽しみ・面白さ・安全の経験
- Engagement/Flow・・・没頭。意識して活動に巻き込む
- Relationships・・・人間関係。楽しめる・協力できるような他の人との交流
- Meaning・・・意義・目的のある物語を作る。
- Accomplishment・・・ゴールの達成
の頭文字の略です。
これらPERMAの要素を導入することで、ユーザーが没頭しやすくなる。
4.簡単にマスターになれるような成長のメカニズムを導入する
良いゲームにはユーザーを学習させ、マスターに向かわせるようなガイドのメカニズムがある。ガイドのメカニズムを利用し、ユーザーのスキルを上げ、没頭させる仕組みが重要です。
5. 個人の内発的な欲求を満たす報酬を準備してユーザの動機づけを行う
タスクの達成などの外から与えられる報酬よりも、 認知欲求や所属欲求のような個人の内発的な欲求を満たす報酬の方がユーザーのモチベーションを高める。
認知欲求や所属欲求などをみたせるような報酬も準備することでユーザーがゲームを使い続ける動機付けとなる。
これらの5点をちゃんと考慮することで、ゲーミフィケーションを盛り込むことができるようです。今後のソーシャルゲームの企画・開発に使える。非常に有意義なセッションでした。
資料
2011: Social Games Year in Review
2011年のソーシャルゲーム市場を振り返るセッション。
日本では一つ一つのアプリの特徴について触れる機会は多いのですが、市場全体を見た傾向がどうかといった情報があまりないような気がします。そんな市場全体の傾向について、成功事例や失敗事例を交えて発表してくれるセッションでした。
今後のソーシャルゲームの流れを把握し、さらに先を行くために非常に参考になりました。
2011年の傾向としては以下のような点が挙げられています。
Trend #1 LONG,LONG TAILS
ランキングTOP50内で、1年以内にリリースされたものは6個。リリース後1年以上立っているものが1/3を占め。成功したゲームの寿命が非常に長くなっている。
メンテナンスを定期的に行い、週ごとに改善していくような努力をして寿命をのばす努力が必要。
Trend #2 VIRALITY:ALIVE AND WELL
FBのゲームのリクエスト、通知のようなバイラルが新規ユーザ獲得でなく、現状のユーザの維持のために役だっている。
Trend #3 EVERYTHING MUST BE A FRONTIER
2009年から2010年は農場系のゲームが元気だった。現在でも農場系のゲームが多いけど、農場の真似をしただけのゲームが多くなってきた。
農場の真似をするだけでなく、フロンティアとして新しい分野を開拓していく必要が出てきている。
Trend #4 THE AGE OF HIGH QUALITY
同じゲームでもここ数年ですごく高品質化しており、高品質の時代がやってきている。
ユーザーは一度いいものを味わうと元に戻れなくなるので、機能・コンテンツを磨き続ける必要がある。
ただ、目新しい機能・コンテンツばかりになると、ユーザーが学ばなければならないことが多くなってしまうので、バランスの調整が退治。
クオリティが高く、新しいものであることが大切。
Trend #5 THE AGE OF ITERATION
似たようなゲームが大量に発生。特に農場系ゲームが大量。
2009年−2010年は モノマネでもDaily Active User(以下、DAU)が多かった。しかし、2010年−2011年にはDAUが低下していき、そして、ほとんど消えてしまった。
既存のゲームと似ていてもテイストを変えるなど、ひとひねりすることが大事!
Trend #6 THE CASUAL INVASION
テトリスのような昔からあるゲームが売れていたり、売れていなかったりしており、ケースバイケースの様相を呈している。
なぜかと考えたところ?以下のような原因が考えられる。
- カジュアルゲームのターゲット層と対象のターゲット異なる
- ゲームに親しみやすさがない
- 1セッションが長い
Trend #7 CASUAL CONFLICT
2010年の対戦型ゲームは、誰が進んでいるのかといった進み具合を表示するようなタイプのゲームが多かった。これは構築型のゲームには適していた。けれども、他のユーザと協力することはできても、他のユーザーの邪魔をすることができない。
2011年になって戦争ゲームのような競争系のゲームが売れるようになってきた。
なぜかと考えると、以下のような原因が考えられる。
- 戦争分野はゲーム機の分野でも既に実績のあるニッチ分野であること
- ユーザーが洗練され、他のユーザーの邪魔をできるよう競走系のゲームを望むようになってきたこと
Trend #8 THE RISE OF I.P.
ライセンスを購入して作成するようなゲームはプロバイダーの助けになるのか?
答えはある程度のインパクトは与えるけど、それだけでどうにかなるようなものではない。
ライセンス系のゲームのメリットとデメリットは
メリット
- ユーザを獲得しやすい
- コンテンツが揃っている
デメリット
- ライセンスコストが高い
- ライセンサーの承認が必要
- プレッシャー
が挙げられる。
ライセンサーからのニーズがあり、決められた期限内のリリースが必要で、スケジュール的にきつくなるようなことも多い。
ESPN U:CollegeTownはゲームバランスが悪く、チュートリアルもあまりよくなく、納期的にもピンチだったけど、現在は質のよいユーザを獲得できている。
ただし、ケースバイケースなので注意が必要。
Trend #9 WHITHER THE FACEBOOK RPG?
FacebookアプリのRPG分野は2010年はすごく調子が良かったが、現在は下降傾向にある。
- アイソメトリックミッション系・・・2011年は調子が良い
- モンスター収穫系・・・同じく調子がいい
- ダンジョン探検系・・・調子が悪い。
これから健全な多様化が行われていくことが今後期待される。
Trend #10 IT’S A HARD,HARD ROAD
ソーシャルゲームの会社は結構多くの数がクローズしている。また、大きな会社でもDAU稼げていないところが多い。
なぜ?
リリースしてからも、ブラッシュアップし続けていかなければならない。また、2,3回失敗しても、持ちこたえるような体力が無いと成功するのは難しい。
資料
2011: Social Games Year in Review資料
まとめ
今回はわたくし鷲見がCasual Connect Seattleに参加して特に印象に残ったセッション2つを解説させていただきました。
『Smart Gamification』では
ユーザーの段階に応じて、ユーザの所属欲求や認知欲求を考慮して、動機付けすることが大切である
ということを学ぶことができました。
『2011: Social Games Year in Review』では、
- ゲームがどんどん高品質化し、ユーザーの求めるレベルが高くなってきている
- モノマネだけでなく、新しい試みが必要である
- ブラッシュアップをつづけ、ユーザーを飽きさせないことが必要である
ということを学ぶことができました。
これら2つのセッションから学べば、ヒットするソーシャルアプリを作れるかもしれませんね!
私もこれらのセッションから学んだことを活かして、アプリをヒットさせてみたいと思います。
part.4以降は、私と一緒にCasual Connect Seattleに参加した中島・九岡からのレポートとなります。