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Google Tag Manager でモバイルアプリのABテスト -ウェブテストの目的-

コンテンツ・メディア第1事業部の荒木です。ピクトリンクというアプリのAndroid版を作っています。今回は、Google Tag Manager(以下、GTM)でAndroidアプリのABテストを効果的に行うためにウェブテストの目的を設定します。ちなみに今回の記事の内容は、Androidアプリに限らずiOSアプリでも使えます。

GTMによるモバイルアプリのABテスト開始方法については、前回の記事(Google Tag Manager でAndroidアプリのABテスト -ABの出し分け-)を参照してください。

設定の概要

ウェブテストの目的は、各パターン(Aパターン、Bパターン)の優劣判定に使われます。GTMは、ウェブテストの目的を基準にして各パターンの優劣を判定します。GTMの「Google アナリティクスのウェブテスト」変数の編集画面から目的を設定することができます。

デフォルトでは、スクリーン数、セッションの長さ、例外数、クラッシュ数の四つから選ぶことができます。たとえば、スクリーン数をウェブテストの目的に設定していると、Google Analytics(以下、GA)で送信したスクリーン数が多いパターンが優秀と判定され、クラッシュ数を目的に設定していると、クラッシュ数が少ないパターンが優秀と判断されます。

GAの目標を作成する

さて、ここで特定ボタンのクリックイベントが多いパターンを優秀と判定したい場合を考えてみましょう。カスタムの目的を設定するには、GAの目標を利用します。GAにログインし、「アナリティクス設定」タブの「目標」を選択してください。このとき、アカウント・プロパティ・ビューがGTMのウェブテストと連携していることを確認してください。

目標の設定画面に遷移したら、「+新しい目標」ボタンから目標の作成を開始してください。目標作成は「① 目標設定」「② 目標の説明」「③ 目標の詳細」の3ステップで実施します。

① 目標設定

「テンプレート」と「カスタム」から選びます。テンプレートは、プロパティ設定で指定されている業種で一般的に目標に設定されるものの候補を表示してくれるので、これから何を目標とすべきかわからないときに参考にしてください。今回は特定ボタンのクリックという目標がすでに決まっているので、「カスタム」を選択します。

② 目標の説明

ここでは、目標の名前とタイプを設定します。タイプとは目標の達成基準に関わるもので、全4種あります。以下は、各タイプの目標達成基準です。

  • 到達ページ:特定スクリーンへ到達したか
  • 滞在時間:滞在時間が設定した時間より長いか
  • ページビュー数 または スクリーンビュー数:1セッションあたりのPV数またはスクリーン数が設定した数より多いか
  • イベント:特定イベントが送信されたか

今回は、ボタンのクリックイベントを目標としたいので、「イベント」を選択します。

③ 目標の詳細

ここでは、 ②で選択した目標タイプごとの詳細設定を行います。今回は、イベントの目標詳細を設定します。イベントの詳細設定では、GAイベントのカテゴリ、アクション、ラベル、値についてそれぞれ条件を設定することができます。カテゴリ、アクション、ラベルは「等しい」「先頭が一致」「正規表現」で一致条件を設定します。値については、「超」「完全一致」「未満」で条件を設定できます。ここで設定した条件が全て満たされた場合に、目標達成となります。なお、空欄の条件は無視されます。

GAの目標を目的に設定する

GAの目標作成が完了したら、GTMの設定に戻ります。「Google アナリティクスのウェブテスト」変数の編集画面で設定できるウェブテストの目的に、先ほど作成したGAの目標「特定のボタンをタップ」が追加されています。これを選択すれば、ボタンのクリック率が良いパターンが優秀と判定されるようになります。

テスト結果の確認

テスト結果の確認は、GAで行います。GA左サイドメニューの「行動」→「ウェブテスト」から、ウェブテストの進捗や結果が確認できます。ウェブテストの目的で設定した基準の達成率(コンバージョン率)を元に、各パターンの優劣が判定されます。GTMの設定によっては、テスト終了時に成果の高いパターンに自動で固定したり、テスト中に徐々に成果の高いパターンに移行していくということが可能です。

おわりに

ウェブテストの目的を適切に設定することで、ユーザーの動向にリアルタイムに追従して、より適切な画面を出せるようになります。みなさんもウェブテストの目的を設定して、よりユーザーに楽しんでもらえるようなアプリを作りましょう!

以上です。