突然ですが、質問です!
なにやら最近、プリントシール機が いろいろなキャラクターやアーティスト、企業とコラボレーションをして盛り上がっているらしい・・・
といった噂を耳にしたことはありますか?
SNS投稿やゲームセンターのポスターなどで見かけた!という方もいらっしゃるかと思います。
今回はそんな、最近増えてきているプリントシール機(以降、プリ)と各種コンテンツとのコラボレーション(以降、コラボ)企画、それに関わるソフト開発のお話をしたいと思います。
改めまして、みなさんこんにちは。
フリュー株式会社でプリのソフトウェア開発を担当している平田です。
本記事では、
- フリューで実施しているプリのコラボ企画のこれまでの歩み
- たくさんの企画を効率的に実現するためのソフトの仕組み
といった内容をお伝えしていきます。
🐾コラボ企画のこれまでの歩み
そもそも、どんなゲームが遊べるの?
普段通りコインを投入し、期間限定で出現しているモードを選ぶと、 コラボコンテンツの撮影フレームやシールデザインを楽しむことができます。
「盛れる」だけでなく、好きなアーティストやキャラの世界観を感じながら「一緒にプリを撮っている」感覚を楽しむことができます。
選べるセットの種類は2セット~6セットあり、企画ごとに可変となっています。
コラボ企画は2016年から始まり、これまでに66件の企画を実現!*1
2022年度には11件、2023年度には7件のコラボ企画を実施しました。
コロナ禍以前と比較すると件数が減っているように見えますが、
- 大きな企画を同時に複数機種で搭載
- 1つのコンテンツを長期間にわたりデザインを切り替えて搭載
といった変化もあり、より幅広く楽しめるようになっています。
また、この他にも世の中の流行に沿った社内オリジナルコンテンツによる限定企画も取り入れるようになりました。
企画内容は多種多様!大きな話題となったコンテンツも!
女の子も男の子も、家族でも楽しめる幅広いコンテンツを提供しています。
企画によっては、撮影中にキャラクターやアーティストのガイド音声が聞けることも! 出力画像だけでなく、プレイ中にも楽しさが詰まっています。
▼過去実施時のニュースリリース例*2
💡効率的な企画実現を叶えるソフトの仕組み
「プリのコラボ企画」のイメージはなんとなく掴めましたか?
ここからは企画実現に際して立ちはだかった課題とその解決のために作り上げたソフトの仕組みについてお話しします。
「全国どこでもプレイできる」プリに求められる要素と現場の実状
プリのコラボ企画には何が求められているでしょうか?
- 全国どこに設置されていてもプレイできること
- その機種ならではの写りの良さとコンテンツが両立していること
- 「今、流行っている」旬のコンテンツをいち早くお届けすること
この3点が、実現すべきポイントとしてあげられます。
また、商品開発段階には何のコラボ企画を実施するかは定まっておらず、発売して店舗へ設置した後にコンテンツの搭載が確定します。
したがって、コラボ企画の実現は通常の商品開発軸とは別のスケジュールで対応する必要があり 「限られた開発リソース(時間、人)×スピード実現」が求められました。
店舗設置型アミューズメント機だからこそ、立ちはだかる通信の壁
発売後にプリのソフトウェアを更新する手法には、次の2種類があります。
- バージョンアップメディアを使用し、筐体に直接接続してダウンロードする方法
- インターネットを用いてファイルをサーバーからダウンロードし、筐体内で展開する方法
今回のコラボ企画では、 店舗スタッフの手をかけることなくスピード感をもって全ての筐体にコンテンツを適用するため、 2. のインターネットを用いた更新(以降、ネット更新)を採用しています。
しかし、このネット更新には
- 店舗毎の通信環境には接続形式(有線/無線)の違いがあり、速度にバラつきがある
- 一度に使用できるデータ通信容量には制限がある
といった制約が課せられているため、これを満たすために「配信データ量の最小化」が求められました。
旬のコンテンツを早く、安定して提供するために築いた2つの仕組み
ここまででお話した「限られた開発リソース×スピード実現」「配信データ量の最小化」を実現すべく、次の仕組みを築いています。
1. コラボコンテンツのパッケージ化
一言で「プリ」といっても、機種によって
- 画面モニタサイズ
- 出力シールサイズ
- 落書き機能
- 撮影画角
などの仕様が大きく異なります。 そのため、どの機種でも可能な限り同等にコラボコンテンツを再現できるような共通機構を設計し、発売時点でシステム搭載しています。
- 画面表示用素材
- 音声データ
- 出力用素材(印刷、送信画像用コンテンツ)
- コンテンツ数や名称指定などの設定ファイル
といった項目でフォーマットを固定化、ゲームのシステム側でそれらのファイルを動的に読み込む仕組みしています。
このパッケージ化を行ったことで、企画仕様検討→デザイン作成→ソフト実装までに必要な工数を少なく抑え、短期間で対応できるようになりました。
過去の対応事例では、企画~コラボ開始までを最短で1カ月以内に実現した案件もあります。
2. 配信データの圧縮
コラボコンテンツのファイル数はかなり多く、そのまま配信してしまうとデータ通信量が膨大になってしまいます…。
その対策として、通信経路上のデータ通信量を抑えるべく
- 一部のファイルを非可逆圧縮方式で配信
- 配信データのダウンロード後、圧縮データを解凍して復元
といった処理を行っています。
なお、圧縮にはデータ種別に応じた以下の手法も取り入れています。
- 音声データは高圧縮のフォーマットを利用
- 画像データはアルファチャネルを分離して圧縮
非可逆圧縮の対象とするのは、ユーザーの手元に残らない構成要素である「画面表示用素材」と「音声データ」。
全てのコンテンツのデータではなく一部のデータのみに絞って非可逆圧縮しているのは、コラボコンテンツの魅力を最大限に活かすための工夫です。
実際にどの程度圧縮されるかは、 「6枚撮影×6セット分のサンプルポーズ画像+サンプルポーズ音声」 という構成のファイルを圧縮した場合を例に挙げますと
圧縮前 | ZIP圧縮のみ | 独自手法の圧縮のみ | ZIP+独自手法の圧縮 |
---|---|---|---|
22.9MB | 21.0MB | 1.54MB | 1.50MB |
となり、20MB以上のデータ量を抑えることができました。
これら2つの仕組みにより、データ納品から短納期かつ安定してコラボコンテンツを市場へお届けできる体制ができあがりました。
🚩まとめ
プリでのコラボ企画は年々増加しており、その実現を次の2つの仕組みで支えています。
- 複数の機種で再現できるような仕様設計とデータのパッケージ化を行い、短期間での開発を実現しています
- 配信ファイルの圧縮技術を用いることで、データ通信容量の壁を乗り越えて全国のお店に安定して提供しています
今後もたくさんの企画をみなさまにお届けしていきたいと思いますので、次のニュースリリースも楽しみにしていてください。
また、
- 「こんな企画もやってほしい!」
- 「この企画よかったよ!」
といった声がございましたら、ぜひぜひ教えていただけるとうれしいです🌷
最後までお読みいただき、ありがとうございました!