FURYU Tech Blog - フリュー株式会社

フリュー株式会社の開発者が技術情報を発信するブログです。

Casual Connect 2011 Seattleで、Angry Birdsの中の人の話を聞いてきました

こんにちは。モバイル事業部 開発部の九岡です。

去る7月に、アメリカ シアトルで開催されたCasual Connectというイベントに参加しました。

Casual Connectは、世界中からカジュアルゲームの開発者、パブリッシャー、ディストリビューターが集まり、情報交換やレクチャーを行うイベントです。

開催期間中、私も色々なレクチャーに参加しましたが、Angry Birdsの開発元であるRovio Mobileさんの発表が特に面白かったので、ここでご紹介させていただきます。

A bird in the hand なお、発表動画はCasual Connect公式サイトで公開されています。この記事を読んで興味を持っていただけたら、動画もチェックしてみてください!

[発表動画]
A Bird In The Hand: How to Make Your IP Work for You | Peter VESTERBACKA | Casual Connect

Angry Birdsって?

豚に卵を盗まれたAngry Birds達が、自らの体を弾にスリングショットで豚をやっつけていく・・・という内容の、有名なiPhone向けカジュアルゲームで、数千万のプレイヤーがいるとも言われています。
Casual ConnectでのRovio Mobileさんの発表にも、ファンの方が多数参加されていたようで、少し他とは違った熱気がありました。

ダウンロード回数よりファンを増やしたい

Angry Birdsは、世界中で3億5000万回以上ダウンロードされています。これだけ成功しているのだから、iOS以外への展開や、次回作など、ゲームとしての今後の展開が気になっていました。もちろん、次回作やマルチプラットフォーム展開も進めているところだそうですが、ポイントはそこではありませんでした。発表者のPeterさん曰く、

「Angry Birdsをただのゲームではなく、一大ブランドに育てたい。1ビリオンファン獲得を目指して頑張る」

ヒット作を連発することは本当に難しい、だからAngry Birdsというブランドを育てることに注力する、ということのようです。

では、ブランドを育てることはどういうことか、というと・・・

メディアミックス

北米ではmedia franchiseといいますが、日本では「メディアミックス」という言葉でおなじみですね。Angry Birdsは色々な媒体で楽しめるようになっています。色々な媒体でAngry Birdsを露出させて、ブランドとしての認知度と価値を高める戦略のようです。

例えば、アニメ作品はROKUというネットワークビデオプレーヤーで視聴できる他、Netflixでオンライン配信されています。また、毎月100万個のおもちゃを販売しています。おもちゃについては私も最近知ったのですが、ぬいぐるみや着ぐるみ、カバン等もあるようです。今後は、「出版社から二人引きぬいて、Angry Birdsの本をつくる!」とも仰っていました。「まずは、豚が作る卵料理の本」だそうですw

Xbox 360PS3向けにAngry Birdsを使ったゲームの開発も進めているそうです。

手を広げ過ぎではないかと思いましたが、ちゃんと、ブランド育成の方針があってのことのようです。
その方針とは、すなわち・・・

ブランド価値へのフォーカス

「手を広げすぎて、Angry Birdsのブランド力が薄まらないように、細心の注意を払っている。ブランドの価値を下げるようなことはしない。ファンを失望させない品質を維持すること。これにフォーカスすることを忘れなければ、ブランドは維持できる。」

「(続編の)Angry Birds Rioもちゃんとゲームとして楽しいものを作った。ブランドを使っただけのクソゲーではなく、自分たちが遊んで楽しい。これが重要。」

質疑応答での、Peterさんのお話です。

もちろん、Angry Birdsもマネタイズを意識していないわけではないようです。利益のでない分野には投資できない、だからこそ利益率が90%になった、と明言されていました。マネタイズもする。ファンの期待にも答える。そのために、ブランド価値にフォーカスする。
言われてみれば当たり前のようですが、このバランスがAngry Birdsをここまで育て上げたのでしょう。

ちなみに、この発表のタイトル”A bird in the hand”は「現実に手にしているもの」という意味で、英語のことわざ”A bird in the hand is worth two in the bush”に由来する慣用句です。birdはAngry Birdにかかってますね。うまい・・・。

まとめ

Rovio Mobileさんは、Angry Birdsのヒットを受けて、Angry Birdsのブランド価値を高めることに注力していく。ブランド価値を高めるために、ゲーム、アニメ、おもちゃ、本など様々な媒体にAngry Birdsの関連商品を展開していく。展開にあたっては、ブランド価値を高めるような商品を作り続けることにフォーカスする。

さいごに

ここまでつらつらと書いてきましたが、この記事を書いたのは、「Angry Birds/Rovio Mobileすごいな~」と言いたかったから・・・ではありません。私自身、ヒットゲーム、ヒットサービスを作りたい、ユーザに楽しんでもらいたい、という思いでエンタメ業界に身を置いています。Rovio Mobileさんの事例と比べて、自身はどうか、今一度、考える機会になるのではないか。そんな思いで、この記事を書きました。

書きながら、

  • マネタイズできているか?
  • ファンの期待に答えているか?
  • ブランド価値にフォーカスしているか?

と自分に問いかけました。
正直なところ耳が痛いです!

皆さんは、いかがでしょうか。

最後になりますが、私個人、また弊社は、Angry BirdsやRovio Mobileさんとは特に関係はありませんので、ご了承くださいm( _ _)m