こんにちは。ソフトウェア開発部の橋本です。
去る4月9日、KLabさん、クラウドクリエイティブスタジオさんを弊社にお招きしてソーシャルゲーム交流会を開催しました。
交流会の目的としては、開発の拠点を関西にもつ各社の開発メンバー同士交流を深めること、 蓄積されたソーシャルゲーム開発のノウハウや課題点の共有、今後の昇華の足がかりとすることです。
また、今回交流会に参加の3社(弊社含む)は、関西に開発拠点をおいており、 今後もこのような情報共有の場を持つ先駆けとする狙いもありました。
結果から申し上げますと、開発者間の交流を深めたり、今後の情報共有の土台作りという目的に対して望んだ成果が得られました。
興味深いやりとりがたくさんできたので、今回はその交流会の様子をレポートしたいと思います!
交流会の流れは、次のように行いました。
- スライドを交えた簡単な自己紹介
- グループディスカッション
- 軽食を交えて懇親会
簡単な自己紹介というわりにはガチなものもちらほらあり、 そのままの流れでグループディスカッションが開始されました。
グループディスカッション議題その1:パズル付きのソーシャルゲームがヒットしたのはなぜなのか?
この議題の背景としまして、従来のカードバトルものとは一線を隔した、ゲーム性のあるソーシャルゲームが大ヒット中です。 この成功に関しては、いろいろな場で考察が繰り広げられています。
KLabさんの社内でも考察をする機会が何度かあったとか。
しかし「これだ!」というような、いわゆる“秘訣”は見つからない状態とのことで、 それならばソーシャルゲーム関連に従事する人の集まるこの場で意見交換を行ってみよう! という趣向でした。
ディスカッションするなかで出た意見を、以下にまとめました。
■ 人に勧めやすい
- 課金しなくても十分遊べる
- 運営から頻繁に課金商品が配られるため
- デザインはかわいいものからカッコいいものまで
- 大人向けの過激なデザインは、人に勧めるには向かない
- わかりやすく、シンプルなゲームデザイン
■ 電車で遊ぶのに適している
- 一戦がだいたい一駅を移動する時間と同じくらい
- プレイしているのを他人に見られても恥ずかしくない
- 通信状態が悪くなっても、一戦終了まで遊べる
■ 課金して損した感じがしない
- 課金商品は1種類のみというシンプルさ
- いつ使っても良いし、無駄にならない
- 1プレイ100円感覚で遊べるゲーム、という感覚
- ソーシャルゲームという括りと異なるのでは説
- 運営から課金品がよく配布されるので、使うことへのハードルが下がっている
■ もし自分たちが最初にこのようなデザインのゲームを作ることができたら、同じように成功したか?
- おそらくは無理。課金品を配りまくるという運用の発想がなかったし、仮に構想があったとしても実現できないと思う。 その結果、同じように成功するかと問われると、おそらくそうはならないだろう。
■ 親子でも遊べるというのは大きい
- 親は子どもにソーシャルゲームをさせたくない人も依然多いが、一緒に楽しめるものとなれば別。
- 広い年代に受け入れられるイラスト、ゲーム性があるが単純さも損なわれていない。
グループディスカッション議題その2:ソーシャルゲーム開発における自慢話
■ フリュー:
ペアプログラミングの実施。
- チーム内でペアを作り、作業者とレビュアーに分かれて開発を行う。
- 限りなく短いスパンでレビュー、手直しができる。また、情報の共有にもなる。
- バグの発生率が下げられるし、一人しか触ることができないコードにならない。
ペアプログラミングに対するよくある誤解として、 「人が2人必要なので、1人の開発の倍コストがかかるのでは?」というものがあります。
ペアプログラミングでは上記の通り、完成度が高く手入れがしやすいコードが書けます。
バグ修正の時間や、コードリーディングにかかる時間が減るので、 コストが純粋に倍になったりはしません。
また、作業者・レビュアーともに、たくさんの学びがあります。
残業が少ない。
- 開発チームで見積もり・振り返りを行う。
- リリース直前などで立て込むことはあるが、それでも残業は少ない。
- 無理なスケジュールを組まないことが浸透してきている。
■ クラウドクリエイティブスタジオさん:
Jenkinsを用いたビルドを行っており、BGMが鳴る。
- ビルドが開始されるとRPGの戦闘の音楽が流れる。
- ビルドが無事成功すると勝利のファンファーレが流れる!
- 失敗すると、全滅したときのBGMが流れる……。
日々のビルドが楽しくなりますね!
日常を楽しむという姿勢が現れていて面白いです。
また、ビルドが自動化されているので、作業を減らせたり、人の手によるミスの可能性を低減できます。
お菓子駆動
- お菓子担当者が、予算内でお菓子を用意してくれる。担当は持ち回り。
- 自分では買わないようなお菓子にもお目にかかれて面白い。
- お菓子のためにがんばる。
- 予算は一ヶ月ごとに一定ということで、月の頭に豪勢なお菓子だと月末はうまい棒のために頑張ることになるのだとか。
■ KLabさん:
コードレビューに対する意識が高い。
- チーム外からでも、積極的にレビューしてもらったりする。
- ノウハウの共有化によって、より良いコードが書ける。
- チーム外からプルリクエストが飛んでくることもある。
開発がチーム内だけで完結しないで、知識や技能を共有できます。
他のチームにいるスペシャリストの力を活かせると、効率も良いうえに開発メンバーのレベルアップにもつながるそうです。
軽食を交えての懇親会
グループディスカッション後の懇親会でお聞きしたお話をリストアップします。
■ 開発と企画でロケーションが離れている件について
- 関西の開発チームと、関東の企画チームといったようにロケーションが離れている。
- ささいな行き違いや伝達ミス、情報が共有されていなかったなどといったことが起こる。
- IRCチャットや、TV会議を用いて円滑な意思疎通を計っている。
- TV会議での音質と画質の向上は、感覚的な距離を縮める働きがある。
高品質にするだけでTV会議の快適さが全然違う。
Webカメラでお互いのオフィスを写しながら仕事をするのはオススメしない。 お互いに気を使って、忙しくないときでも帰りづらい空気ができてしまったりする。
■ ログ解析について
- ログ解析の重要性は企画にも認知されてきた。
- ログを解析する専門のチームを作り、分析に当たっている(KLab,フリュー)。
- EMR、fluentを駆使して、出来るだけ短いスパンで解析結果を届けられないか模索中。
- ただ、ログ解析チームのリソースに対して案件が多く、案件ごとに個別にログを出力しているケースもある。
- ログ基盤だけですべてを賄えるようにはなっておらず、今後の課題である。
交流会全体を通して
各社、各参加者とも、同じような悩みや問題を抱えているようだと感じました。
問題点に対しての前提の説明があまり必要なく、
「○○みたいな問題がありまして…」というと「うちもうちも」といった感じでした。
(ロケーションの問題や、ログ解析の問題然り)
「ソーシャルゲーム開発はまだ認知度が低く、オープンな場で話が通じない事もある。このような場だと、そういう居心地の悪さは無い。誇りというほど厳かなものではないが、自分が頑張っている仕事を楽しく話せるというのは、やはりいいものだ」
という旨のお話を伺ったのが、私にとっては特に興味深かったです。
今回の交流会の内容としては以上で終了ですが、 この第一回で終わりとならず、これからへと繋がっていくことを望みます。
また、今回の交流会は会社間で行いましたが、もっとオープンな場でのソーシャルゲーム勉強会も開催されています。
少しでも興味が湧きましたら、是非とも覗いてみてください!