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フリュー株式会社の開発者が技術情報を発信するブログです。

データ分析結果をナレッジ化させる話

はじめに

皆さんこんにちは!
ピクトリンク事業部商品技術開発部 データ分析チームの堀江です🤗
今回はチームで行っている「分析結果のナレッジ蓄積」の取り組みについてまとめてみました。

取り組みの経緯

データ分析チームでは、事業部KPIの分析や施策の効果検証といった分析業務を日々行っています。
分析結果は事業部や施策関係者に伝えられ、次のアクションのための意思決定材料として用いられてきました。

しかし、分析結果のアウトプット形式や発信先は毎回異なっていたため、「あの時のあの調査の結果ってどんなだっけな~」というように過去の結果を振り返りたい時はその都度SlackやJIRAを遡って探す必要がありました。
また、過去の分析結果を見つけても「データ元が既に削除されていて詳細な数値が分からない」「概要が文章化されておらず経緯が分からない」というように内容によってアウトプットの質に差がありました。
そのため、これまで多くの分析を行ってきたのにも関わらず、分析で得られた知見を次へ活かし辛いという課題がありました。

そこで、「分析の目的や結果」「分析に使った資料」「どのような意思決定に繋がったか」といった分析に関する一連の情報をナレッジとしてまとめて蓄積し、過去の分析に関する知見を次に活かせるようにする取り組みを始めました。

実際にやったこと

以下の内容をまとめたドキュメントを分析結果毎に作成し、Github上に蓄積していきました。

  1. 分析概要
  2. 分析計画
    1. 分析目的
    2. 分析手法・指標
    3. 仮説
  3. 分析結果
    1. 関連資料のリンク
    2. 結果(事実)
    3. 考察
  4. 分析結果から繋がったアクション(意思決定)
  5. この分析で得た知見

具体的には以下のような感じで書きます。内容はダミーです。

分析概要
ペットのハムスターのために回し車を設置しているのに全く使ってくれない。
大きさ・色合いが異なる回し車を4つ用意したので、どの回し車だったら使ってもらえるのかを調べた。
分析計画
分析目的
ペットのハムスターの運動量を増やすため、最適な回し車を見つける。
分析手法・指標
ハムスターが回し車を使っている時間を1時間毎に計測し、回し車毎に1日の平均値を算出し比較する。
回し車は1日毎に別の物に置き換え、計1カ月間で検証する。
仮説
大きい回し車の方が喜んで使ってもらえるのではないか。
分析結果
関連資料のリンク
今回は無し
結果(事実)
回し車の色 回し車の直径 1時間あたりの使用時間(平均)
赤色 20cm 5分
赤色 30cm 10分
青色 20cm 3分
青色 30cm 5分
考察
20cmよりも30cmの方が使用時間が長かったため、仮説通り大きい回し車の方が評価は高そう。色も青色より赤色の方が食いつきが良かった。
分析結果から繋がったアクション(意思決定)
赤色×30㎝の回し車を採用。
◆この分析で得た知見
ハムスターは視力があまり良くなく色も識別できないらしいので、回し車の色は関係ないかもしれない。
分析手法として回し車を使っている時間を1時間毎に計測し1日の平均値を算出したが、そもそも使用時間が少なかったので1時間で区切る必要は無かったかも。

上記のような感じで、分析を担当した人が項目に沿って内容を書いていきます。

「次に類似の分析を行う際にどういった情報があればありがたいか」を念頭に置き、必要な情報を書いています。そのため、単に分析結果をまとめるだけではなく「どういう経緯でこの分析を行うことになったのか」「この分析でどういう知見を得られたのか」の部分に注力します。

規模が大きい分析は内容をまとめるコストがかかってしまいますが、そういう場合はナレッジを複数に分割します。基本的にこのナレッジ化にかける工数は最小限×一定になるようにしています。

やってみた所感

結果を振り返りやすい!

一つの分析に対して必要な情報が全てGithub上で確認できるので、情報を探すコストを省けました。また、ドキュメント内には必要最低限の情報のみが書かれているので、すぐに欲しい情報にアクセスできることも良い点かと思います。(特にSlackを見返す時はやり取りが多くて分かり辛かった)

実際に、過去に実施した大きめの施策の結果をさくっと確認したい時に役立ちました。

課題:ナレッジ化が定着していない

本来であれば分析業務の一連の流れの中にナレッジ化の段階を組み込めれば良いのですが、まだ「ナレッジ化」が独立している状態です。

そのため、どの内容をナレッジ化するのかの選定が出来ていなかったり、実際の分析作業からナレッジドキュメント作成の着手まで時間が空いてしまったりと、上手く運用に乗せられていません。

根本解決には至っていませんが、最近では「調査をした翌週にナレッジ化作業を入れる」「分析タスクの着手前にナレッジ化対象とするかどうかを決める」といった工夫をしています。これにより以前よりも「分析業務」と「ナレッジ化」の分離を防止できていそうなので、継続してやっていけたらと思っています。

さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございました🐹

今回はデータ分析チームの分析ナレッジ蓄積の話を紹介しました。

取り組みが始まって日が浅いのでまだまだ数件しかナレッジ化できていませんが、数年後には「これだけやってきたのか~!!」と思えるようになるまでナレッジを溜めていきたいと思っています💪