FURYU Tech Blog - フリュー株式会社

フリュー株式会社の開発者が技術情報を発信するブログです。

プリントシール機にUnity製ゲームを搭載したときの話

こんにちは。プリントシール機事業部 ソフトウェア開発担当の石井です。

近年、UnityやUnreal Engineなど、ゲーム開発を以前よりも簡単に行うことができるようになって、触られたことがある方も多いのではないかと思います。

フリューのプリントシール機開発においても、開発者の多さによる情報量や映像表現力などの点から、近ごろアミューズメント施設に置かれたプリントシール機にはUnity製のアプリケーションが搭載され始めています。

今回は、プリントシール機のソフトウェア開発環境と、プリントシール機にUnity製のアプリケーションを搭載したときのお話をしたいと思います。

プリントシール機のハードウェア環境

メチャクチャざっくりした構成はこんな感じです。

商品によって、写真を最大限に盛るために撮影ブースの広さが最適化されていたり、楽しく遊んで撮影するために撮影ブースが広かったり、カメラをユーザーが自由に動かして撮影することができます。

こういった、商品のコンセプトなどからハードウェア構成を検討し、そのハードウェア性能の制約上でソフトウェア開発を行うことになります。

プリントシール機のソフトウェア開発

フリューのプリントシール機は実はWindows PCで動作しています。

そして、プリントシール機に組み込まれているソフトウェアのほとんどは、C#またはC++で開発されています。

そのため、Unityでプリントシール機に組み込むアプリケーションを開発するときには、開発言語にはC#を使用し、Windowsで動作するようにビルドを行います。

Unity製のアプリケーションをプリントシール機に搭載するための契約

Unityのようなゲームエンジンを商用アプリケーションで使用する上で注意しなければいけないことが、

  • そもそも使って良いのか?
  • ロイヤリティは発生するか?

などの契約関連のことです。 これをクリアしなければ、技術的には問題がなくても、法律的または予算的にアウトになります。

世の中には、スマートフォンゲームやPCゲームなど、Unityで作られた商用ゲームはたくさんあります。

フリューでも、すでにUnityを使ってスマートフォンゲーム開発は行っていたため、「同じようにUnity Proのライセンスを買ってゲームを作れば問題ないのでは?」と、初めはそう考えていました。

ですが、そういったスマートフォンゲームなどとは異なり、 プリントシール機はアーケードゲーム です。(分類的にはシール自販機ですが…)

そこで、Webなどから情報収集してみたところ、 生産台数が1000台を超える組み込み機器にUnity製のアプリケーションを搭載するには、 Unity for 遊技機 という月額9000円の追加契約が必要であり、この契約を行うことでロイヤリティが不要になるとのこと。

「Unity for 遊技機」ライセンスのEULAにおいて許諾されるものは以下のとおりです

  • 日本国内にて販売・および設置されるパチンコ、パチスロを含む遊技機のコンテンツの開発(アーケードゲームを含む)
  • このライセンスの許諾を受けるには、サブスクリプション版のUnity Proをご利用いただく必要があります。
  • 月額のサブスクリプション費用のみでコンテンツの配信までいただけます。ロイヤリティは発生しません。
  • Unity 5を含む最新版のUnityをご利用いただけます。
  • このライセンスは特別なバージョンのランタイムソフトウェアを提供するわけではなく、通常のUnityのランタイムを対象とします。
  • このライセンスではソースコードおよびサポートは提供されません。ソースコードおよびサポートが必要な場合は別途購入が必要となります。ソースコードおよびサポートの取得については別途お問い合わせ下さい。
  • 日本国外のカジノ等で使用される賭博用のコンテンツ開発には本ライセンスは利用できません。Unity Gambling Licenseを別途お求めください。

公式のFAQにはUnityはロイヤリティ不要とあったので、ロイヤリティが必要な前提の契約がでてきてウーン…と思いましたが、まぁ何事にも例外はあるということで…

ただ、Web上にある情報は少々古かったこと(2016年のプレスリリース記事)などから、今現在もこの追加契約が必要なのか詳細がよくわからなかったので、Unityに問い合わせたところ、親切にご対応いただけました。

その結果、この追加契約は現在も必要だということがわかりました。

!あくまでフリューのプリントシール機でのケースです。

プリントシール機内のどこにUnityが使われているのか

初搭載となったのは AROUND20 という機種の落書き画面です。

https://www.puri.furyu.jp/lineup/around20/

落書き画面では、ペンやスタンプで撮影画像に落書きをしたり、画像にフィルターをかけてさらにオシャレな仕上がりにすることが可能です!

お絵描きソフトをUnityで作成する上で必要だった技術的な内容は次回以降にお話しできたらと思います。

これから

Unityを導入することで、プリントシール機の映像表現の幅はさらに広がりました。

今後もプリントシール機のUnityへの移行を進めて行き、ユーザーの皆様にはさらに素晴らしい体験をお届けしたいと考えています!